PIMCOの視点

エマージング市場について知っておくべき5つのこと

エマージング市場の昨今の変化を鑑みながら、投資家が考慮すべきことを5つのポイントにまとめました。

エマージング債券とエマージング株式には多くの共通点がある一方で、国別のエクスポージャーやリスクは異なります。MSCIエマージング市場インデックスに含まれる27カ国のうち、時価ベースでは上位5カ国が70%を占めます。また、中国、韓国、台湾というアジアの3カ国が、50%以上を占めます。

一方、債券インデックスは株式インデックスよりも幅広い対象で構成されています。エマージング諸国が米ドル建てで発行する債券からなるJPモルガンEMBIグローバル・インデックスは、66カ国で構成されています。時価ベースで上位5カ国が占める割合は40%、上位3カ国が占める割合は28%に過ぎません。このエマージング債券のインデックスに含まれる66カ国のうち、株式インデックスと重複するのはわずか19カ国です。

「エマージング株式とエマージング債券はそれぞれ独立した資産クラスです。投資家は求めるリスク・プロファイルに基づき両者のアロケーションを決定するべきでしょう。」
(ヤコブ・アーノポリン、ポートフォリオ・マネージャー)

 

エマージング市場全体をみると、石油の輸出に強く依存する国が存在する一方で、特に東南アジア、東欧、カリブ海地域では、純輸入国も数多く存在します。大規模な輸出国として認識されることの多いメキシコでさえも、石油を輸入して精製品を輸出しています。

このため、コモディティ価格の下落は、エマージング市場にとって必ずしも悪材料ではありません。輸入国にとっては経常収支の改善につながるため、追い風になることもあります。これに対して、コモディティ価格の大幅な上昇は、輸出国の財政規律を緩ませる可能性があるため、必ずしもプラスとは言えません。輸入国と輸出国が並存することで、全体の中で差別化を図ることが可能になるため、アクティブ投資家にとっては好都合と言えるでしょう。

「PIMCOでは原油価格は短期的にレンジ圏内で推移すると予想しています。このような状況は、エマージング市場にとって望ましいと言えます。」
(ヤコブ・アーノポリン、ポートフォリオ・マネージャー)

エマージング投資が始まったばかりの頃には、ある国の問題が別の国にも素早く波及することがありました。1994年のテキーラショック、1997年のアジア危機、1998年のロシアのデフォルトなどのイベントは、エマージング市場が「波及リスク」に対して脆弱であるとの印象を形成する要因となりました。

しかしながら、投資家の知見が深まるなかで、このようなイベントは以前よりも外部環境から遮断されるようになりました。2013年末に始まりロシアのクリミア併合や債務の格下げにつながったウクライナの政変を受けて、多くの投資家はロシアから資金を引き揚げました。しかしながら、債券投資家は、エマージング市場から完全に撤退するのではなく、カザフスタンなどのコモディティ生産国の債券に投資先を移しました。

エマージング諸国の中でも、最も広範な影響をもたらす可能性があるのは中国ですが、次の2つの要因によって、エマージング市場の債券投資家に与える影響は軽減されると考えられます。第1に、主要なエマージング債券インデックスには、人民元建ての中国の債券は含まれていません。第2に、中国経済の減速は金融政策の緩和につながる可能性があり、債券投資にとってプラスに作用すると考えられるためです。

「エマージング市場は大きく変化しました。以前と比べて、各国固有のイベントは抑制されるようになり、市場はパニックを起こしにくくなりました。」
(ヤコブ・アーノポリン、ポートフォリオ・マネージャー)

2013年の「テーパリング癇癪(量的緩和縮小に対する市場の過剰な反応)」を明らかな例外として、エマージング・クレジットはこれまで米ドル金利の上昇局面をうまく乗り切ってきました。各国の通貨はまちまちの動きを示したものの、外貨建て(米ドル建て)債券は比較的安定していました。いずれの資産クラスも、2000~2001年、2004~2006年の引き締めサイクルや、足元の引き締めサイクルにおいて、プラスのパフォーマンスを残しています。

先進国市場とエマージング市場における実質利回り格差はインフレ期待の関数で、現地通貨建て債券のパフォーマンスを規定する主な要因です。足元では、実質利回りはエマージング市場の方が相当程度高く、米ドル金利がさらに上昇した場合でも、パフォーマンスの大きなバッファーとなっています。

また、現在の利上げサイクルは、近年の利上げサイクルのなかでも市場とのコミュニケーションが十分に図られているケースで、金融引き締めは、経済成長と貿易量の拡大に沿ったものとなる可能性が高いでしょう。このように、米ドル金利の上昇はエマージング市場にとって決して「悪夢」のシナリオではありません。

「実質利回り格差が大きいため、エマージング債券は先進国市場における金利上昇の影響は比較的小さいと考えられます。」
(ヤコブ・アーノポリン、ポートフォリオ・マネージャー)

エマージング市場が資産クラスとして確立されたことを受けて、多くの投資家は次の大きなテーマを模索しています。ウルグアイ、ザンビア、スリランカなどの多様な国をひとまとめにした「フロンティア市場」が、その候補となっています。しかしながら、これらの国の共通点は、経済規模が小さく債券市場の流動性が一般に低い点に限られます。

フロンティア市場では(追加的なリスクの代償として)利回りの向上が期待される一方で、将来のパフォーマンスは、透明性の改善、経済の多様化、国内外の投資家のコミットメント次第と言えるでしょう。

「フロンティア市場がエマージング市場をアウトパフォームする保証はありません。」
(ヤコブ・アーノポリン、ポートフォリオ・マネージャー)

ご留意事項

過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。 債券市場 への投資は市場、金利、発行者、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。 株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。

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