PIMCOは戦略的資産配分において商品が果たす役割に関する分析をイボットソン・アソシエイツ社に委託しました。今回のインタビューでは、PIMCOのコモディティ・リアル・リターン戦略のプロダクト・マネージャーであるボブ・グリアが、イボットソンの分析内容とPIMCOがイボットソンに分析を委託した理由についてご説明します。イボットソン・アソシエイツによる分析、「戦略的資産配分と商品」PDFをダウンロードするには、こちらをクリックしてください。
問:PIMCOが戦略的資産配分と商品に関する分析を外部に委託した理由について説明してください。
グリア:商品に投資する理由、そして商品セクターに対するエクスポージャーを取る方法については、長年の間、さまざまな形で調査研究が行われてきました。しかし、商品に対する最適な配分の大きさに関する研究はほとんど行われてきませんでした。当社はお客様から、商品セクターにどの程度の資金を配分すべきだろうかという御質問を頂戴することが多く、この分野に関して、外部の独立した機関による分析が必要であると考えました。当社がイボットソン・アソシエイツ社に調査を依頼した理由は、イボットソン社が資産配分に関してきわめて高い評価を得ている独立系の専門家集団であることにあります。PIMCOはイボットソンに対し、データと当社の刊行済み調査資料へのアクセスを提供しましたが、この研究における分析結果と結論はすべてイボットソン・アソシエイツ社によるものです。今回の包括的な分析は私たちの業界にとって必要なものである考えられるため、当社はこの研究結果を業界全体に公開しています。
問:イボットソンが導き出した結論について伺う前に、この分析で採用された手法について説明してください。
グリア:商品の過去のパフォーマンス特性を分析するため、イボットソンでは既存の4種類の商品インデックスを基に、複合商品インデックスを作り出しました。複合インデックスを利用することで、単一のインデックスで生じる可能性のあるバイアスがもたらす好ましくない影響を排除し、資産クラスとしての商品に固有のリターンをより正確に示すことが可能になります。
第1に、イボットソンでは有効フロンティア分析により、TビルやTIPS、米国債券、外国債券、米国株式、外国株式などで構成される戦略的資産配分の機会集合に商品を加えた場合の影響をヒストリカルな視点から評価しました。次に、イボットソンは過去のデータと独自の分析により、3通りの手法、すなわち資本資産価格モデル、積み木方式、そしてこの2つの組み合わせによって将来の商品のリターンを予測しました。こうして得られた将来のリターン予測を利用して、イボットソンは安全性重視のポートフォリオ、適度なリスクを取るポートフォリオ、積極的にリスクを取るポートフォリオにおける商品への最適な配分を判定しました。
問:戦略的資産配分において、これまで商品が果たしてきた役割について、イボットソンはどのように結論付けたのでしょうか。
グリア:ヒストリカルにみて、商品から高いリターンと分散効果、インフレに対するヘッジ、そして戦略的資産配分におけるリスク・リターン特性の改善がもたらされたことを、イボットソンの分析は示しています。
イボットソンは1970年から2004年までの年間リターンを分析しました。この35年間で、商品は米国株式を含め、分析対象としたすべての資産クラスで最も高いリターンを生み出しました。また、商品はこの分析で取り上げた他の資産クラスと負の相関関係にあり、従来主流であった資産のパフォーマンスが低迷し、商品からの高いリターンが最も強く求められる局面で、相対的に高いリターンを生み出す傾向があることがわかりました。たとえば、イボットソンが分析対象とした35年のうち、米国株式のトータル・リターンがマイナスになった年が8年ありました。イボットソンが開発した複合インデックスで測定すると、商品はこの8年に、他の資産を上回るリターンを生み出しています。また、米国債券のリターンがマイナスとなった2年間でも、商品は最も高いリターンを生み出しています。
商品はリターンが高く、他の資産との相関が低いため、イボットソンの分析では、戦略的資産配分機会集合に商品を組み込むことにより、機会集合から商品を除外した場合に比べ、あらゆる所与のリスク水準で、リターンが大幅に高くなりました。一般的なポートフォリオ・リスク、すなわち標準偏差のレンジを概算で2.4%から19.8%とした場合、各リスク水準における過去のリターンの改善幅は平均で133bpになり、最大では188bpに達しています。
さらに、今回の分析は商品がインフレ率だけでなく、インフレ率の変動とも正の相関関係にあることを示しています。これは商品がインフレに対するヘッジになり、実質購買力を提供できるという考え方を裏付けるものです。実際に、分析対象となった期間のうち、インフレ率が高水準にあった1970年から81年までの間、商品は他の資産クラスに対して大幅なアウトパフォーマンスになっています。
問:ではイボットソンは商品に対する今後の最適な配分について、どのように結論付けたのでしょうか。
グリア:先ほど申し上げた通り、イボットソンは将来の商品のリターンを3つの異なる方法を用いて予測しました。資本資産価格モデルと積み木方式、そしてその2つを組み合わせた方法です。
商品に対する最適な配分はどの方法を使うかにより変わります。標準偏差が10%の水準、すなわち株式が60%、債券が40%で構成される標準的なポートフォリオに近い適度なリスク水準の場合、商品に対する最適な配分は、資本資産価格モデルを利用すると22%になり、積み木方式を利用すると28.9%にまで上昇します。これよりも安全性を重視した5%のリスク水準の場合でも、商品に対する最適な配分は比較的大きく、約9%から14%近くになっています。
シャープ・レシオを基にすると、将来の商品のリターンを予測するために、どの方法を利用しても、機会集合に商品を組み込んだポートフォリオは商品を除外したポートフォリオよりも効率性も高くなりました。
問:イボットソンの分析により示される最適な商品への配分は予想外に高かったといえるのでしょうか。
グリア:その通りです。イボットソンの分析が示す商品への最適な配分は高水準であり、多くの投資家にとって意外に思えることでしょう。そこでイボットソンは分析を一歩進めました。イボットソンが商品に対する最適な配分を判定するために用いたリターンの想定は妥当なものであり、過去の商品のリターンを大きく下回っていましたが、イボットソンでは商品の予想されるリターンをきわめて低く見積もった上で同じ分析を実施し、商品に対する最適な配分がどのように変化するかを確認しました。この分析において、イボットソンは商品の期待リターンをTビル+2%に引き下げました。これにより3つのモデルそれぞれにおける商品の期待リターンは大幅に低下することになります。
期待リターンをこのように大幅に引き下げても、商品に対する最適な配分は相対的に高いままとなりました。適度なリスクのポートフォリオの場合、配分は3モデルすべてで11%を上回りました。そして、この分析においてイボットソンはパッシブなTビルを担保として利用する以外の方法により、高いリターンを得られる可能性を排除していたことに留意すべきです。
問:それでは、お客様が実際にポートフォリオの11%以上を商品に投資すると予想できるでしょうか。
グリア:その可能性は低いと思われます。ほとんどの場合、「異端リスク」、もしくは組織的な制約により、商品への配分は1桁に留まることでしょう。しかし、今回の分析は商品に対する配分がゼロでは低すぎることを、第三者の立場から証明したものです。この分析結果は、特定の商品インデックスや特定の運用会社、もしくは商品に関連する投資商品を提供する会社と提携した企業が行ったものではありません。イボットソンは資産配分の分野で非常に高い評価を得ている専門企業です。当社はイボットソンの分析を業界に対して提供したいと考えましたが、同時にこの分析は、投資家がこの重要な資産クラスをポートフォリオに組み込むために必要な追加的な支援材料となる可能性があるといえるでしょう。