社債の特性
株式と異なり、社債は債券の発行体企業の所有権を示すものではありません。その代わりに、発行体は債券保有者に対し、償還までの間(課税対象となる)利息を支払い、債券発行時に規定された償還日に元本を返済します。
社債の中には、償還日が変更される可能性のある期限前償還条項が付与されている銘柄もありますが、大半の銘柄は償還までの残存期間によって、次のように大まかに分類することができます。
短期債(償還までの期間が5年未満のもの)。
中期債(残存期間が5年以上12年未満のもの)。
長期債(残存期間が12年以上のもの)
この他社債には以下のような特性があります。
· 分散化:社債は経済のさまざまなセクターに投資する機会を提供します。社債を発行する企業は多岐にわたるため、その中でリスクと潜在的な利回りを広く分散させることが可能です。社債は、株式ポートフォリオの分散度を高めることが可能なほか、地方債や米国債で構成される債券ポートフォリオの分散にも寄与します。
· 安定した利息収入:大半の社債は、半年毎の利払日に固定利息を支払います。例外としては、償還までの間利払いが一度も行われない代わりに大幅なディスカウントで発行され、額面で償還されるゼロ・クーポン債があります。もう1つの例外は変動利付債です。変動利付債の場合、短期金利と連動して支払利息が変動します。こうしたタイプの債券は、残存期間がほぼ同じ固定債と比較すると利回りが低くなる傾向にありますが、価格変動も小さくなります。
· 魅力的な利回り:社債は、残存期間がほぼ同じ国債よりも利回りが高くなる傾向にあります。
· 流動性:社債の流動性は高く、発行後にセカンダリー・マーケットで活発に売買が行われています。Securities Industry and Financial Market Associationによれば米国における社債の一日あたりの売買額は約150億ドル程度といわれています。
· 格付:社債には、ムーディーズ・インベスター・サービスやスタンダード&プアーズといった大手格付機関が、企業のファンダメンタルズや信用状況、元利金支払能力に関する独自の分析を基に、格付を付与しています。
社債の境界線:投資適格債と投機的格付債
発行体企業の財務状態は多様であるため、社債の格付水準は多岐にわたりますが、大きく分けると、投資適格債と投機的格付債(ハイイールド債)の2つの信用区分に分類することができます。投機的格付債は格付の高い投資適格企業に比べて信用クオリティが低いと考えられる企業が発行する債券です。投資適格には4段階の格付区分があります。一方、投機的格付には6段階の格付区分があります。かつて、銀行は格付区分の上位4段階だけに投資することが可能でした。そのためにこの上位4段階の格付が投資適格と呼ばれるようになりました。一方、格付が下位6段階となる企業は金融機関にとってリスクが高すぎ、こうした企業への投資は投機的だとされたため、この下位6段階の格付は投機的格付と呼ばれるようになりました。
多くの場合、投機的格付債の発行体企業は設立後間もない企業や、競争や変動の激しいセクターの企業、もしくはファンダメンタルズに問題のある企業となります。投機的信用格付は、投資適格格付よりもデフォルト確率が高いことを意味していますが、投機的格付債からは、高いリスクに見合うだけの高い利息、すなわち高い利回りが得られることも少なくありません。格付は発行体の信用クオリティが悪化すると引き下げられ、信用クオリティが向上すると引き上げられる可能性があります。
フォーリン・エンジェル、ライジング・スター、スプリット格付
「フォーリン・エンジェル(堕天使)」とは、かつて投資適格であったものの、厳しい環境に見舞われ、その結果投機的格付に格下げされた企業を指す言葉です。「ライジング・スター(希望の星)」とは、信用クオリティの改善により、格付機関により格付が引き上げられた企業を指す言葉です。格付は格付機関各社の主観によって決まるため、1つの発行体企業の格付水準が格付機関によって異なる場合があります。これを「スプリット格付」と呼びます。フォーリン・エンジェルや、ライジング・スター、スプリット格付に該当する企業は、格付状況の変動性が高く、高いリスクを取ることで、超過利回りを獲得する機会を提供しています。
社債価格を決定する要因
社債の価格は複数の要因によって決まりますが、代表的なところでは、残存期間、発行体企業の信用格付、市場における全般的な金利水準などがあります。市場の金利水準と、市場が判断する発行体の信用リスク度合いを反映して社債の価格が決定され、同時に社債の期待利回りも決まります。通常、政府よりも民間企業の方が信用リスクがあるとみられることから、同程度の残存期間の債券であれば、社債の方が国債よりも高い利回りとなります。この国債対比での利回りの格差は「クレジット・スプレッド」と称され、社債の投資家が、企業の信用リスクをとることで、国債に超過して得ることができる利回りを示します。
まとめ:社債には魅力ある潜在的な利点が多数存在
社債は、リスク特性を多様化し、株式や債券ポートフォリオの分散化に寄与することが可能な投資対象であり、その寄与度は、経済状況、発行体の信用格付、そして投資家が許容可能なリスクの水準によって決まります。また分散効果以外にも、高い流動性や利回り水準が社債投資の魅力といえるでしょう。
ムーディーズとS&Pによる投資適格格付と投機的格付
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ムーディーズ S&P |
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投資適格 |
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最高の信用力 Aaa AAA (信用力が最も高く、投資に伴う信用リスクが最小) |
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高い信用力 Aa AA (高格付債と称されることも多い) |
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中級格付の上位 A A (運用上の特性の多くは良好) |
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中級格付 Baa BBB (安全性は上位格付ほど高くないが、不十分ではない) |
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投機的格付 |
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ある程度の投機性 Ba BB (投機的要素を持つ) |
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投機的 B B (全般に投資対象としての良好な特性に欠ける) |
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きわめて投機性が高い Caa CCC (安全性が低い) |
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投機性が最も高い Ca CC (債務不履行となる可能性がきわめて高い) |
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デフォルトの可能性が切迫 C C (元利金の回収見込みはきわめて低い) |
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債務不履行 C D |