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Bond Basics
2004年11月
ヘッジ付き外債のリターンの仕組み
 
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外貨建て債券への投資には、債券価格の変化によるリターン・リスクに加え、自国通貨への換算に伴う為替変動リスクおよびリターン(為替差損益)が伴います。

ヘッジ付き外債とは、外貨建債券に投資する際に為替ヘッジをつけて為替変動によるリスクを回避する手法であり、為替ヘッジは、為替先物予約で外貨を自国通貨に交換する契約を結ぶことによって行われます。

このように為替リスクを回避するための為替ヘッジのコストが発生するため、ヘッジ付き外債のリターンは外国債券そのもののリターンと一致するわけではありません。本稿では、ヘッジ付き外債のリターンをどのようにとらえるべきか、また、そのリターンを左右するリスク要因は何か、について解説します。

ヘッジ付き外債のリターン
外貨建債券に投資する場合、為替ヘッジは通常1~3ヶ月程度の短期の為替先物予約を通じて行われ、期日を迎える都度その為替予約が更新(ロール)されていきます。ヘッジ付き外債で一般的に用いられるインデックスである、シティ・グループ世界国債インデックス(ヘッジ付き)やリーマン・ブラザーズグローバル総合インデックス(ヘッジ付き)のリターンも1ヶ月ごとの為替予約によるヘッジを前提としています。

ヘッジのコストは理論的には「外貨建短期金利と自国通貨建短期金利の差」となります。(詳細は付論をご覧ください。)

従って、ヘッジ付き外債のリターンは、(外貨建債券のリターン)-(外貨建短期金利-自国通貨建短期金利)と表すことができます。

例えば米国10年債に投資する際、ドルから円への為替ヘッジをつけるとすると、そのヘッジ後のリターンは米国10年債のリターンから米-日の短期金利差を引いたものになります。このヘッジ付き米国10年債リターンと日本国債10年物のリターンとの比較は、円ヘッジ付き米国債と日本国債が、ヘッジコストを勘案した上でどちらが有利な投資であるかを計る一つの指標になりえます。

金利の変化による債券価格の変化が無い(キャピタル・ゲイン、キャピタル・ロスが無い)条件下においては、債券のリターンは最終利回り(インカム・ゲイン)と考えられますので、ヘッジ付き外債のリターンは外貨建債券の利回りから内外短期金利差*を差し引いたものとなります。例えば、2004年8月末時点における米国10年国債の利回りは4.1%、内外短期金利差は1.7%*ですので、ヘッジ付きの米国10年国債の利回りは2.4%と考えられます。これに対し日本の10年国債の利回りは1.5%ですので、金利の変化が無いとの仮定においては、ヘッジ付き米国10年債のリターンが日本国債10年物のリターンを上回るかたちとなります。

*ドル3ヶ月LIBOR、円3ヶ月LIBORの差。データ出所は全てBloomberg

ヘッジ付き外債のリターンに影響をもたらす要因
外貨建債券自体のリターンは外貨建金利の変化に左右されますが、ヘッジ付き外債のリターンは上記で定義されたように、外貨建債券自体のリターンとヘッジコスト(内外短期金利差)によって決定されます。

外貨建てを含む債券のリターンは、キャピタル・ゲイン/キャピタル・ロスと、インカム・ゲインの要素があります。例えば金利が上昇した場合、債券価格は下落しますので短期的には債券のリターンは低下します**。しかし中長期的には再投資利回りが上昇することによりリターンが上昇します。逆に、金利が低下すれば短期的には債券価格が上昇して債券のリターンは上昇しますが、中長期的には再投資収益が低下することによりリターンは低下します。

以下の表は外貨建長期金利と内外短期金利差の変化の組み合わせごとにヘッジ付き外債リターンへの影響をまとめたものです。

<ケース1>
まず、外貨建長期金利が上昇するとともに内外短期金利差が拡大するケースがあります。この場合、短期的には外債リターンが低下するとともにヘッジコストも上昇するため、ヘッジ付外債のリターンは低下しますが、中長期的には再投資利回りが高まることから外債のリターンは上昇します。

過去の例でみますと、1993年から1995年にかけて米国準備制度理事会(FRB)は政策金利であるフェデラル・ファンド・レートを3%から6%まで引き上げ、米国と日本の短期金利差は拡大、また米国長期金利も上昇したため、ヘッジ付き米国債のリターンは低下しました。

<ケース2>
また、外貨建長期金利が上昇し、内外短期金利格差が縮小するケースにおいては、短期的には外債のリターンが低下する一方でヘッジコストは低下しますので、ヘッジ付外債のリターンの変化をみるには外債のリターン低下と内外短期金利差縮小のどちらの影響がより大きいかを計る必要があります。なお、中長期的には再投資利回りの上昇から外債のリターンは上昇します。

<ケース3>
次に、外貨建長期金利が低下する一方で内外短期金利差が拡大する場合は、短期的には外債のリターンが上昇する一方でヘッジコストが高まるため、このケースにおいても、外債のリターン上昇と内外短期金利差拡大のどちらの影響がより大きいかを計る必要があります。ただし、中長期的には再投資利回りの低下から外債のリターンは低下します。

<ケース4>
最後に、外貨建長期金利が低下するとともに内外短期金利差が縮小する場合は、短期的には外債のリターンが上昇し、またヘッジコストも低下するためヘッジ付外債のリターンは上昇します。ただし、中長期的には再投資利回りの低下から外債のリターンは低下します。

2000年以降、FRBはリフレーション政策に転じ、FFレートを断続的に引き下げたこと、また日本においても景気低迷を背景として超低金利政策が維持されたことから内外短期金利差は縮小、また米国長期金利も低下したことから債券価格は上昇し、ヘッジ付き外債のリターンは高まりました。

以上をふまえ、ヘッジ付き外債と自国通貨建て債券のリターンを比較する場合、両債券のリターンの格差および内外短期金利差がポイントとなります。

すなわち、
(外貨建債券のリターン- 円建債券のリターン)-(外貨建短期金利-円短期金利)がプラスとなれば、円債よりもヘッジ付き外債のほうがより高いリターンを獲得できると考えることが可能です。

最後に、ヘッジ付外債のリターン、更にその外債アクティブ運用において超過収益を生み出す源泉は、円債投資によるものとは異なります。従って、投資の分散効果という観点においては、ヘッジ付外債は内外金利差の動向にかかわらず、有効な投資対象といえます。

<付論>
為替ヘッジコストについて
為替ヘッジのコストは投資する証券や資産の外貨と自国通貨の金利の差として表すことができます。

たとえば、ドル(外貨)建て資産に1年間投資する際に円(自国通貨)に対する為替ヘッジをつける場合、仮に円の金利が1%、ドル金利が5%であれば、投資時点のスポットレートが100円/ドルの場合、1年先のフォワードレートは96円/ドルとなります。

もし1年先のフォワードレートが100円/ドルのままであるとすると、円資金をドルに変え、運用しただけで2%の利益が得られることになってしまい、1年先の円買い・ドル売りフォワードに資金が集中してしまいます。理論的には、1年先のドル売りフォワードレートは円高・ドル安の方向に進み、円で運用した場合と同じところまでフォワードレートが調整されることになります。

円で運用した場合の金利が1%、ドルでは5%ですから、その差の4%分ドル安になる地点、すなわち96円/ドルがフォワードレートとなります。

ヘッジコストは為替の先物予約をするコストですから、フォワードレートとスポットレートの差と考えることができ、この場合、100円と96円の差で4円、スポットレート100円に対して4%となります。そしてこれは円とドルの金利差に相当します。

なお、フォワードレートの算出を式で表せば次のようになります。

(もっとも、実際には内外金利差どおりに為替が調整されるとは限らず、また、その調整期間を正確に予測することは困難であるため、投資から回収までに円安の方向が維持されるという見通しのもと、外貨建て資産にヘッジなしで投資をする考え方も可能です。)

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